食育のおはなし

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食べることから考える、むし歯予防を始めよう!

【食】=『人』を『良』くする
食べることは、健康に直結するとても大切なことです。
それは、「歯」にとっても例外ではありません。

歯みがきの上達、歯並びの改善には、
ある程度の時間が必要かもしれません。
しかし、食べるものや食習慣を変えることは、比較的取り組みやすいむし歯予防の一つではないでしょうか?

「『食』と考えるむし歯予防」
食べることから健康なおくち、そして、カラダをつくっていきましょう。

むし歯を防ぐ食習慣

1. 食事の時間、おやつの時間は規則的に。おくちの休み時間をしっかり取ろう。

2. よく噛んで、唾液をしっかり出そう!使おう!

3. 就寝前は、何も食べない時間をたっぷり取ろう。

4. 砂糖の”量“を”考えて”食べよう。

5. みんなで食事を楽しもう。

むし歯の予防には、食べ方がとっても重要!
甘いものを食べてむし歯になるかどうか。それは、『頻度』と『量』次第。

1.食事の時間、おやつの時間は規則的に。おくちの休み時間をしっかり取ろう。

①何かを食べる度に、口の中は酸性に傾き歯の表面が溶け始めます(脱灰)。
②その後およそ20分かけて回復し、そこから40分ほどかけて唾液の再石灰化の作用で、溶け出した部分が修復されます。

何も食べない時間が十分(2~3時間)取れる規則正しい食生活では、
脱灰と再石灰化のバランスが取れてむし歯になりにくくなります。

しかし、食べる頻度が多くなると、再石灰化のゾーンにとどまれず、脱灰状態の時間が長い、むし歯になりやすい状態になります。

こんな習慣、要注意です!
・ 3度の食事の間に甘いものなどを食べる(飲食回数5回以上は要注意)
・ 夜寝る直前まで、何か食べたりジュースを飲んだりする
・ 量は少なくても、アメなど甘くて長く口の中にあるものを食べる
・ 喉が乾くとジュースやスポーツドリンクで水分補給

2. よく噛んで、唾液をたっぷり出そう!使おう!

唾液の恩恵をたっぷり受けるために、1口30回を目安に良く噛んで、唾液の分泌を促しましょう!
やわらかメニューでは、30回が難しいので、きのこや乾物などの繊維質を混ぜたり、具材を大きめに切ったりして、“噛める”工夫をしましょう。

3. 就寝前は、何も食べない時間をたっぷりと。

就寝中は、唾液の量が1/5程度まで減り、再石灰化のゾーンに戻りにくくなるため、特に注意が必要です。
最低でも寝る前1時間は、水かお茶を飲むくらいにして、再石灰化が完了してから、眠りに就きましょう
 

4.砂糖の”量“を”考えて”食べよう。

砂糖はむし歯の一番の原因 その理由は?

  1. 歯の汚れの素になるから
    歯の汚れ(歯垢・プラーク)は、歯の表面にこびりつく細菌のかたまり(バイオフィルム)で、これを作る一番の原因となるのが砂糖です。
  2. 酸を作るから
    バイオフィルムの中では、細菌が砂糖を分解して『酸』を作り、それが歯を溶かし、むし歯ができます。砂糖の濃度が高くなるほど、酸度が高くなることもわかっています。
  3. 他の糖も悪さを出来るようにしてしまうから
    バイオフィルムができると、それが様々な菌を呼び寄せ、砂糖以外の糖でも『酸』を作り出せるようになります。
    よく目にする「ブドウ糖」や「果糖」、その混合液の「コーンシロップ」、清涼飲料水にはほぼ例外なく含まれる「果糖ブドウ糖液糖」などでも酸の材料になってしまい、さらにむし歯のリスクを高めます。
砂糖の限度量

砂糖の摂り過ぎは、むし歯のみならず、生活習慣病のリスクにもつながります
・ 肥満
・ 非アルコール性脂肪肝炎
・ 動脈硬化など循環器の病気

WHOが制定した砂糖の限度量(2015年)
●砂糖の摂取量=1日の摂取エネルギーの10%以内を推奨
3歳児の5% = 約15g
成人の5% = 25g

米国心臓学会が制定した砂糖の限度量(2016年)
●2〜18歳の1日あたりの添加糖(ブドウ糖や果糖、砂糖(ショ糖)、ハチミツ、シロップ、果汁、濃縮果汁など自然に存在する糖)摂取量 =25g未満を勧告
●2歳未満の小児に対しては食事への添加糖分を避けるよう提言
→味の好みは生後早期に決まり、それが甘味に偏ると、小児・若年成人における肥満の割合、高血圧など心疾患のリスクが上昇してしまうため。

関連資料 日本経済新聞 2015.3/5付

3歳以降の甘いおやつガイド

●就園し、“お友達”との関わりも生まれ、甘いお菓子の味を知る機会が増えます。
それをすべて排除するのは難しく、また、制限の度合いによっては、社会性を学ぶ機会を奪うことにつながりかねません。

●むし歯予防を意識しつつ、他者と甘いお菓子、両方とうまく付き合うためには
『1日にこのくらい』とルールを決めて、楽しみましょう。
お友達、おじいちゃんおばあちゃんが相手でも、そのルールは曲げないよう努めます。頂きものは一旦預かって、その中からルール分だけ選び、残りは“次のお楽しみ”にとっておきましょう。
『今日は特別』は、誕生日やクリスマスなど本当に特別な日に・・・

●『このくらい』ってどのくらい?
先述の砂糖の限度量、日本歯科医師会のむし歯予防のための砂糖の限度量(1977)より、
3歳以上の子どもの目安
1日あたりの砂糖摂取限度量15〜20g = 角砂糖4〜5個分

知っていますか?
糖分を角砂糖○個分で表してくれるアプリ
サトウさん 覗いてみよう ジュースの中の糖分を

商品のバーコードを読み取ると(現段階では、市販の飲料のみ対応)、商品全体に含まれる砂糖の量を角砂糖の個数で教えてくれます。(角砂糖1個=4gで計算)飲んだ記録をつけると、摂取した砂糖の量が基準値の何%かまで教えてくれます。

 

ちゃんとおさまっていますか? いつものおやつ

●甘いお菓子の砂糖量(カッコ内は角砂糖に換算した時の数)の目安
・ ショートケーキ1ピース 51g(約13個)
・ プリン1つ 16g(4個)
・ カステラ 1切れ 31g(約8個)
・ シュークリーム 16g(4個)
・ バニラアイス 20g(5個)

●ドリンクの砂糖量の目安
・ コーラ 500ml 55g(約14個)
・ 乳酸菌飲料 500ml 50g(12.5個)
・ シェイク Sサイズ70g(17.5個)
              →関連 角砂糖何個分?(おおうち新聞2018.10.1号)

知っていますか?
大ブーム中のタピオカミルクティーの砂糖の量
某コンビニのタピオカミルクティーの結果は・・・
1本255gあたり 24.0g(6個) でした。大人にとっても、限度量ギリギリですので、1日に何杯も飲んだりするのは危険です。健康を害さない範囲で、ブームを楽しみましょう!何気ない1つのおやつ、1杯の飲み物で、1日分の砂糖の制限量を超えてしまうものが多くあります。甘いものは量を気にしながら、きちんとお腹を空かせましょう!

空腹は、なによりも食事をおいしく感じさせてくれますよ。

 

おやつの取扱説明書
上記の糖分の摂取限度を守るには、おやつはどんなものをあげたら良いのでしょうか?

 
『おやつは第4の食事』

  1. 朝食・昼食・夕食。今日のメニューはケーキ!とはなりません。(なっていませんよね^^;?)おやつも食事と考えれば、メニューとして思い浮かぶものも違ってくるのではないでしょうか?幼児は、“成長のためのエネルギー”分が上乗せされるため、身体は小さくても、大人の7割ほどの栄養量が必要です。胃袋が小さく1回の食事量が少ないので、必要な栄養を確保するためにも+1回の補食でカバーしましょう。(2歳までは1日2回が目安)
  2. 夕食が遅めの時間なら炭水化物でエネルギー補給、少食ならおやつ無しで夕食をしっかり食べさせる、など各家庭で工夫すると良いでしょう。
  3. 3歳までは特に、食事としてのおやつを意識しましょう。お菓子類のデビューは、まだ先。『遅すぎる』ということはありません。
  4. 散歩や外遊びにどんどん出かけ、甘いものを遠ざけながら、しっかりお腹を空かせる工夫をしましょう。
  5. 食事までの時間が半端な時は、水やお茶などカロリーのない飲み物でしのぎ、ご飯の時間にはお腹が空くようにしましょう。

予防医学から考えるおすすめおやつ
おにぎり、サンドイッチ、トースト、蒸しパン、そうめん、うどん、焼きそば、マカロニ、お団子など食事に準ずるもの
さつまいも、じゃがいも、トウモロコシ、枝豆、トマト、きゅうり、りんご、梨、みかん、スイカ など旬の野菜・果物
小魚、チーズ、(無糖)ヨーグルト、牛乳 など たんぱく質源

知っていますか?
チーズを食べるとむし歯になりにくくなる!

2005年WHO 「歯と口腔の疾患および健康に関する食事」
食後にシュガーレスガムとかたいチーズの勧め

食後に、ハード系のチーズ(チェダー、パルミジャーノなど水分が少なく熟成したもの)をゆっくり食べると、カルシウムやリンが唾液中に留まり、歯の再石灰化を促してくれるそうです。
効果がなくなってしまうため、酸性度の強い飲み物とは、一緒に召し上がらないよう注意しましょう。
→関連 酸にご用心(おおうち新聞2012.7.1号)

 

5. みんなで食事を楽しもう。

食事もおやつも、楽しいのがいちばん!
食べる量、栄養バランス、砂糖の量etc. 気になる要素はたくさんあります。
ですが、家族や友だちと一緒に、おしゃべりをしながら賑やかな雰囲気の中で食べることが、一層おいしく感じるために必要なことでしょう。

「人参は目に良いよ!」「お魚を食べると、骨が丈夫になるよ。」「ご飯を食べると、パワーがでるよ!」など、食卓でのおしゃべりで耳にすれば、
食べる物への関心も生まれていきます。

また、“誰かと一緒に食べる”ことで偏食や早食いなどを防ぎ、食欲の有無や食事中の様子から、体調の変化に気付くことにもつながります。

家族の生活パターンが多様化し、毎日全員揃って「いただきます」ができる家庭は多くないかもしれませんが、揃った時は食事の時間を楽しみましょう。


 参考資料 
     食育とむし歯予防の本(医歯薬出版株式会社)
     NHK あさイチ 朝採り情報(2014.4.22)
     雪印メグミルクH.P チーズがとろける秘密
     日刊スポーツ(2018.8.5付) 照山裕子の健康掲載

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